大阪の近未来を垣間見た三日間―ナレッジキャピタルマネジメントとは

2011年5月4日にグランドオープンしたOSAKA STATION CITYは、
約4ヶ月の時を経てなお、ホームの小屋根の撤去が進まないなど
発展途上の姿を留めていますが、
その大阪駅の北側にはまた新たに発展中の施設があります。

 

2013年3月グランドオープン予定となっているその近未来の施設は、
グランフロント大阪」と名づけられており、
その施設内には、「ナレッジキャピタルマネジメント」という
なにやら面白げな場所が生まれる予定だということが漏れ伝わってきています。

この「ナレッジキャピタルマネジメント」って、なんなんだろう?

と、調べてみると、

ナレッジキャピタルは、企業、研究者、クリエイターが世界の「感性」「技術」を持ち寄り、交わり、コラボレーションすることで新たな価値を生み出していく複合施設です。また、この街には、ビジネスマンはもちろんのこと、ショッピングやレジャーなどで毎日たくさんの人々が訪れます。ナレッジキャピタルで展示発信される新しいプロダクトやサービスはこのまちに訪れる情報感度の高い人々から評価を受けることで、より高いレベルへと進化していきます。

とのことで、解ったような解らないようなモヤモヤ感がするだけでしたが、
2011年8月26日~28日の3日間で先行体験イベントを開催するらしいので、
実態のよくわからないままフラフラと会場を訪れてみました。

 

会場に入るなり、ALSOKのガイドロボが迎えてくれたり、
大阪の町工場パワーのアピールもあるのか、
なかなかのロボット率の高さを見せていました。

 

 

展示の一部をピックアップしてみると

  • 1台で工場がわり!ハイエンド3Dプリンター
  • こんなに薄いのにピカピカ明るい!有機EL照明
  • 自宅がライブ会場に!パノラマ映像合成配信
  • 行動から好みを見抜いてお買い物をサポート!トモダチロボット
  • 拡張現実で味を書き換える!メタクッキー
  • デジタル文化財で触れる体感できる!未来の博物館展示

などなどの、未来感ただよう内容が楽しめました。

 

その中でも異彩を放っていたのは、こちらの物体。

いわずと知れた、大阪大学の石黒浩教授によって開発された
「人間の存在感を遠隔配信するための端末」テレノイドです。

ちょうどテレノイドでの会話を体験できるタイミングだったので
おそるおそるテレノイドを手に抱いておしゃべりしてみました。

手に抱いて話してみると、距離的に顔周辺にしか目が行かないので、
首と口と目線の動きだけで話している相手のイメージの投影は
充分に可能そうだなという感覚を持ちました。

話者の顔の動きをカメラで認識して、テレノイドが自動で同期して動くため、
左右の手を動かしたいときだけボタン操作する仕組みらしく、
子供やお年寄りでもすぐに覚えて簡単に動かせるとのことです。

 

その他にもトークイベントやワークショップ、講演などが
いくつも行われていましたが、もちろん石黒先生も、
劇作家の平田オリザ氏、そしてジェミノイドFとともに、
アンドロイドと生きる近未来の生活について語らいあっていました。

ジェミノイドFは、座って話すことに機能最適化されたアンドロイドなので、
肩から上の動き以外は最低限に省略した設計になっており、1000万円+デザイン料で
自分そっくりのジェミノイドを発注することもできるそうです。

まばたきはランダムパターンを組んでいるほか、
呼吸による胸の膨張など自律的な演出機能を搭載していることで
人間的存在感をかもし出しているのだそうです。

その他にも、平田オリザ氏による人間的に自然な動作を演出する方法への
劇作家ならではの解説や、石黒先生による行動と感情の相関、
人間理解とロボット開発の発展は相伴うものであるという話など、
具体例を挙げて解りやすく話してくれていました。

そして、自分そっくりのアンドロイドを作ってしまったために、
アイデンティティの本体がアンドロイドのほうにあるような感覚に陥ったり、
アンドロイドそっくりの姿を保つために若返りを図っているみたいな
こぼれ話も披露してくれたり、楽しい一時間半でした。

 

あと個人的に面白かったのは、
子供やお年寄り、笑っている人、落ち込んでいる人など、
話し相手の年齢や表情に応じて会話パターンを変更したり、
時間帯や状況に応じた行動プログラムを搭載すると
人間らしい振る舞いの完成度が上がるだろうというビジョンの話で、
ラブプラスの会話プログラムとジェミノイドが組み合わさるみたいな
悪魔の発明が実現したら、面白くもちょっと怖い未来になりそうだなあと
ワクワク感が加速してしまいました。

ジェミノイド同士が何体かで勝手に会話しあう展示とかしてくれたら、
ものすごく面白そうなので、2013年の大阪の風景の一つに、
そんなものが実現していることを期待しつつ、
「ナレッジキャピタルマネジメント」のオープンを心待ちにしておきたいと思います。

最後に手乗りテレノイドとも言うべき
「テレノイド携帯」の試作機も、石黒先生が直々にプレゼンしていました。

テレノイドと同じく、最小限の人間的ふるまいを行うことで、
話し相手の存在感まで伝達してくれる携帯電話なのですが、
声の抑揚などから感情を読み取って自動的に振る舞いに変換してくれて、
操作的には普通の電話と同じように話すだけ、みたいな簡単さだったら、
けっこうこれはアリなアイテムではなかろうかと思ったり、
すっかり近未来への受け入れ態勢が整い始めてしまいました。

 

そんなこんなで、今回の体験イベントを訪れてみて、
「ナレッジキャピタルマネジメント」って、なんなんだろう?
と改めて思い直してみると、

知覚の拡張や、新たなコミュニケーションの方法を提供する技術が生まれると、
そこに新たなサービスやエンターテイメントが実現し、
私たちの日常生活の形も変わっていくんだということを
ちょっと先取りで体験させてくれる場所なのかなあと、
ぼんやりながらイメージできるようになりました。

また、アンドロイド演劇を上演する劇場を作ったり、
「ナレッジキャピタルマネジメント」だけで楽しめる観光資源を創設するプランもあるみたいで、
梅田という街の未来の文化や風土も生みだされていくのではないかという
楽しみも膨らんできます。

新たな技術を生み出す研究者・開発者と
その技術の面白さを引き出すアーティスト・クリエイターが
コラボレーションし、その成果をユーザーに試体験してもらい、
フィードバックを踏まえて商品やビジネスへの落としどころを探っていく、
技術とアイデアの牧場のような場所を夢見つつ、
2013年まで生き延びておきたいと思います。

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