『砂漠にオーロラ』を聴きながら、ゆらゆら考えてみた

まずは、たまたまネットで巡り合った素敵な楽曲、『砂漠にオーロラ』という曲を聴いてみてください。

 

 

この曲は、1980年に東芝EMIより発売された、森岡あきこ(宮川明子)さんのデビュー曲で、発売日直前に体調を崩したためにプロモーション活動も出来ないまま業界を去ってしまった、悲運な経歴をもつ歌手です。

発売当時にこの曲を聴いたことはもちろんなくて、ごく最近、偶然聴いて魅了されたわけなのですが、同じくたまたま耳にしてこの曲のファンになったというコメントが多く付いている印象ですね。

 

そしてなんと、この曲を歌われている、森岡あきこさん本人も動画にコメントを寄せていました。

はじめまして。砂漠にオーロラを歌っております本人です。気に入ってくださってありがとうございます。私は元気で、ただいま狛江で結婚して住んでおります。当時東京学芸大学の女子大生だった私は、レコーディング終了後、過労から倒れてしまって、何も活動できなかったんですね。プレイボーイとか、明星の歌本にも有望新人として、本人不在のまま取り上げて頂いたのですが、親の反対もあり、復帰することが出来ませんでした。
大学は無事卒業し、その後も広告代理店などで働きながら、ハートビートという可愛いロックバンドをやったり、ポプコンで優秀歌唱賞頂いたり、音楽は続けていました。作詞作曲もしております。元々ミュージカルなどもやっていたので、演技も得意です。最近も、TVCMで、ナレーターもやっておりますよ。砂漠にオーロラは-、本当に元気の出る名曲なので、必ずリバイバルヒットさせたいなと思っております。武谷光さんは、本当に才能豊かな方です。私の詞から生まれた万葉ディスコチューンの「夜干玉」など、アルバム用に作った名曲が、沢山埋もれております。是非、皆さんのお力で、復活させて欲しいものです。本当に見つけてくださって、ありがとうございます。これからも、よろしくお願い致します。
by 森岡あきこ(本人) (2009-09-20 21:19)

しかし、このコメントの3ヵ月後、2009年12月に病気のために永眠されたとのことで、『砂漠にオーロラ』のリバイバルの夢は果たされないままとなりました。

 

この曲を作曲した武谷光さんにもコンタクトをとり、持ち歌にさせてもらいたいと打診していたり、本人が意欲をもって動いていただけに、本当に惜しまれる結果になりましたし、やはり悲運の曲なのか、ということをついつい思ってしまったり。

作曲家さんのブログでは、『砂漠にオーロラ』のデモ音源と、B面の『恋のアドバイス』の音源も公開されていますので、ぜひそちらも聴いてみてください。

こうして、歌を歌っているご本人や、作曲者さんがダイレクトに発信する言葉に触れることが出来るというのは、ネットを通じてさりげなくすごいことが起きているなあという感慨が湧いてきますし、この曲に対しても、もっと多くの人に知ってもらって、CDや音源配信の動きにまで盛り上がったらいいのになあと、思い入れも強まっていきます。

しかし、すでにご本人は不在ですし、聞き手の欲だけで盛り上がっても・・・という寂しさも混ざった複雑な心地もありつつ、この素晴らしい歌を聴いていると、ゆらゆらさまざまな考え事をしてしまう今日この頃です。

 

ちなみに、歌詞がけっこう謎めいているところがあって、理解の追いつかない部分があったのですが、「14番目の月が好き」のくだりは、コメントや作曲者さんの解説で、松任谷由美さんの『14番目の月』という曲にちなんでいるとのことで、スッキリしました。

もう一つの謎だった、「スカーフ巻くほどめちゃくちゃに」について、推理をめぐらしつつ、「スカーフ 巻く」で検索してみると、昔のテレビドラマ『君の名は』の劇中でヒロインの真知子がショールを肩からぐるりと一周させ、耳や頭をくるんでいたスタイルで登場し、「真知子巻き」として流行したという情報を見つけ、このドラマのストーリみたいに劇的な展開でも恐れることなく、みたいな意味なのかなと考えてみました。

というわけで、まあ要するに、『砂漠にオーロラは何度も聴きたくなる良い曲だということを書きたくなってしまっただけの投稿でした。

リピート再生しながら、「砂漠にオーロラってどんな風景なんだろう?」とか思い浮かべていると、なぜか寸劇を書き上げてしまっていたので、蛇足もいいところですが、勢い任せに載せておくことにします。

 

『砂漠にオーロラ』

風に流れる雲の欠片さえなく、
しんしんと音のない空気に封じ込められた夜の砂漠では、
ゆるやかに巡る星空だけが、
時の流れを思い出させてくれるものだった。

どちらを向いても、ゆるやかに弧を描く真っ暗な地平線と
星のきらめきしか見えない世界の中心で、
二人の男が、力なく砂に膝をついていた。

男1「これはもう、・・・ダメかもしれないね」
男2「いやいや、そんな弱気なこと言うなって」
男1「喉がカラカラどころじゃないし、唇がもう干物のようになってしまって・・・、ボクは何夜干しなんだよって感じだよ・・・」
男2「でもまあ、今夜はだいぶ距離を稼げたはずだからさっ!」
男1「そんなこと言っても、徒歩でこんなに砂に足をとられながらじゃ、焼け石に水なんだよ・・・」
男2「うん・・・。けどほら、弱気になってても仕方ないし、もう一休みしたら、夜明けまでにもう少し先まで歩いてみようって。・・・ね?」
男1「なんなんだよ、この砂地獄・・・。まさか、盗んだラクダで走り出した、十五の夜なノリの結末が、こんなことになるとはね・・・」
男2「勝手に終わらすなって! 簡単に諦めるなよ!」
男1「だって、水も食べ物ももうないじゃないか! あたりは砂ばかりだし、あと一日乗り切れるかも解らないピンチなんだよ!?」
男2「無駄な大声出すなよ! 冷静さを失ったらおしまいだぞ!」
男1「ホラッ! やっぱりボクらはおしまいじゃないか! 君も解ってるんだろ?」
男2「だから冷静になれって! こういうときこそ、落ち着いて持ち物を再確認して、なにが出来るかを考えていかないと・・・」
男1「もうなんにもありゃしないさ・・・」
男2「・・・あっ! あー! あああーっ!!」
男1「えっ・・・? なんなのコイツ。・・・急病?」
男2「違うしっ! ほら・・・。忘れてたけど、君さっき飲み干したのとは別に、もう一個ペットボトル持ってたじゃないか!」
男1「あ・・・。うん、そうだけど・・・」
男2「それで計画的に水分補給していけばまだまだ頑張れるはずだよ!」
男1「いやあ、ダメだってばー、あれはそういんじゃないしさ・・・」
男2「そういうんじゃないって、なんなんだよ!」
男1「なんというか、とてもお伝えしにくいんだけど・・・」
男2「オマエ、もしかして一人でこっそり飲むつもりなの? 信じられないんだけど!?」
男1「違うってば! ほんとにあれは、今となってはもう荷物なだけというかさ・・・、砂漠に不似合いな浮ついた存在であって、あれこそボクらの失敗の象徴というべきかもしれないものなのかもしれないし・・・」
男2「いや、意味がぜんぜん解らないんだけど・・・。回りくどい言い方せずにはっきり説明しろって!」
男1「君が飲みたいんなら飲んでくれても別にいいんだけど、飲んだら逆に命取りかなって思うし、それが解っている以上、ボクとしては飲むことはオススメしないほうが良心的だろうし・・・」
男2「だから、じゃああれは何なのか、一言で言えばいいだろ!?」
男1「でも言ったら、きっと君に嫌われそうだし、君に嫌われたらボクもう生きていけないよ・・・」
男2「このままじゃ二人とも生きていけないかもしれない状況で何言ってるんだよ!」
男1「どうせ死ぬのなら、無様なあがきは見せたくないのが男の意地みたいなとこもあるし・・・」
男2「いいから早く言えって。嫌いになんかならないし、絶対俺がなんとかしてみせるから!」
男1「じゃ・・・、じゃあ、君のことを信じて言うけど、ほんとに怒ったりしないでね?」
男2「大丈夫だから!早く教えて!」
男1「あれはさー、オ・・・、オ・・・・・・」
男2「お?」
男1「オーロラソースなんだよね、実は! ハハハ!」
男2「えっ・・・」
男1「はい、嫌われたー。もう終わりだー!」
男2「いや・・・。端的に言うと、予想外すぎて頭がついていけてないだけなんだけど・・・。いったいなんでそんなもの?」
男1「でも、GABANのおいしいやつだよ! 500ml入りなんだよ!?」
男2「いやいやいや、品質とかそういうことじゃなくて、なんで砂漠に来るのにそのチョイスなのかなと・・・」
男1「砂漠でオーロラソースを使ったディナーとか絶対オシャレだと思ったもん!!」
男2「えっ? あぁー? オシャレなのかなあ・・・」
男1「こんな極限的環境で、オーロラソースで味付けする優雅さとか、オシャレ以外の何ものでもないってば!」
男2「まあ、オシャレは我慢とも言うし、そう考えれば言わんとしてることは解らなくもなさそうだけど・・・」
男1「君と砂漠に行くからこそ、オシャレに決めたかったんだし!」
男2「あっ、でも、じゃあなんで今まで一度もそれ使わなかったの?」
男1「・・・」
男2「乗ってたラクダにとうとう手をかけて、最後の晩餐だーみたいに言ってたときですら、使ってなかったよね?」
男1「それは君がおいしいおいしいって言って、ラクダをあっという間にペロリと平らげてしまってたから、味を変えて楽しんでもらう隙もなかったし、そもそも君が、塩を軽く振っただけで素材の味を楽しむのが真の食通とか、ストイックに塩だけで食べるのが粋だ、みたいに何度も言ってるんだから、出しづらかったに決まってるだろ!」
男2「え? そうだっけ・・・?」
男1「・・・」
男2「あっ、でもそのオーロラソース! 液体だってことは、そのままだと飲むのには適さなくても、濾過したりして上手く水分だけを取りだせば役に立つかもしれない!」
男1「なんだよそれ! やっぱりオーロラソースが嫌いだったんだろ! こんなものもういいんだよ!」
男2「あっ!何してるんだよ! だからそれが大事だって今言ってるだろ!」

男たちは互いにオーロラソースのボトルを引っ張り合いを始める。

男2が、男1の手からオーロラソースを引き抜いた勢いで砂の上を転がり、
ボトルからオーロラソースがこぼれ出した上に、顔をつっこんでしまう。

男1「あっ! 大丈夫!?」
男2「いたた・・・ しかも口に砂が・・・・・・あっ! あー! あああーっ!!」
男1「えっ、えっ、どこか怪我した!? 骨とか折れた!?」
男2「砂がおいしい!! オーロラソースすごいなっ!!!」
男1「えええーっ!?」 
男2「これはヤバイよ・・・ こんなすごいソースなら、いろんなものにかけて食べないと・・・ 死んでも死にきれない!」
男1「そんな気に入ってもらえて嬉しいけど、砂食べて喜ばれるとか、どう受け止めていいのか戸惑うんだけど・・・」
男2「砂に塩かけてもこんな魔法のようなことは起きないし、いままでの勝手なこだわりとか全部ぶっ飛んで、生まれ変わったみたいに新鮮な気分でどこまでも歩いていけそう!」
男1「そ、そうなんだ・・・。すごいいいことだね」
男2「よし、あの地平線の向こうまで絶対連れて行ってやるから、手を離すなよ!」
男1「う、うん・・・」
男2「帰ったらオーロラソースパーティーするんだから!」

砂漠の長く暗い夜が明けて、
地平線の向こうから太陽の光がこぼれ出してくると、
二人の男の眼差しの先にはオーロラソース色の空と、
サラダのようにみずみずしい草原が見えてきたのでした。

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